VOICES & VISIONS

Interview 02

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Interview 02

数字よりも、人生に向き合う
パートナーでありたい。

小野寺 洋平Yohei Onodera

財務会計コンサルタント|渋谷統括マネージャー
2018年中途入社

自営業を営む家庭に生まれ、子どもながらに経営の厳しさを知る。
大学時代には資格学校にも通いながら税理士を志すも、卒業後は不動産会社で営業職を経験。
その後、ベンチャーサポート税理士法人に入社し、
オフィスの立ち上げや営業を経て、2024年より渋谷オフィスの統括マネージャーに就任した。
経営者支援に加え、仕組みづくりや人材育成など、幅広い領域で活躍している。

お客様の家族の未来まで、想像できるか。
祖父と父は建設業、母方は内装インテリア業を営み、“経営”がとても身近な家庭環境でした。ただ、事業の経営は不安定なものでもあります。その大変さを身近で見てきた祖母からは、「ちゃんとサラリーマンになりなさい」と言われて育ちました。自宅には税理士さんが頻繁に出入りしていたこともあり、「ああいう仕事は堅実でいいよ」と勧められたことも記憶に残っています。そんな影響もあって、自然と税理士という仕事を意識するようになっていきました。
人生の大きな転機を迎えたのは、高校卒業を目前に控えた頃のこと。突然、父が病気で倒れてしまったんです。それまで一家の大黒柱だった父の収入が途絶え、家計は一気に苦しくなりました。すでに大学も決まっていて、進学を諦めることはしなかったものの、親の負担を減らすためにも、生活費や学費は自分で工面しようと決めました。授業の合間や終わった後は、アルバイトに励む日々。さらに平行して資格学校にも通い、税理士資格を目指して簿記論や財務諸表論を学びました。就活の時も税理士事務所を志望し、内定もいただいていたのですが、家計の状況を考えて「まずは稼げる仕事に就こう」と、不動産会社へ入社。しかし、実際に働きはじめて、その営業スタイルにどうしても違和感を覚えるようになりました。お客様の将来設計よりも、「どれだけ契約を取れるか」が重視される。だけど、目の前の数字だけでなく、顧客の“家族の未来”まで想像してしまう自分がいたんです。
結局、3ヶ月で退社し、就活をやり直すことに。改めて税理士を目指そうと決意し、そこで出会ったのがベンチャーサポート税理士法人でした。お客様の一番近くで、将来まで見据えて伴走していく。そんな意義のある仕事に本気で取り組める環境が、ここにはあったんです。

口座残高15万円から、
1,000万円へのV字回復。

これまで、数多くの起業家・経営者と向き合ってきましたが、特に心に残っているのは、美容室を経営されているお客様です。2店舗目までは順調だったのですが、3店舗目を出した直後、資金がショートし、月末の口座残高は15万円ほど。社長はストレスで顔面麻痺になり、電話越しに涙ながらに相談を受けることもありました。そこから毎週のように打ち合わせを重ね、固定費の見直しや税金の還付処理、補助金の申請、スタッフの給与制度の再設計まで、あらゆる角度から立て直しに奔走しました。
特に大きかったのは賞与制度の見直しです。それまで全員一律だった10万円支給を、業績連動のインセンティブ制度に切り替えたことで、現場のモチベーションと経営の健全化の両立を図りました。その結果、1年半後には口座残高が1,000万円近くに回復。売上も増え、スタッフの離職もゼロ。銀行からの再与信も通るようになりました。経営が持ち直したのはもちろんのこと、なにより、お客様の表情にも笑顔が戻ってきたのを見て、「この仕事をしていて本当によかった」と心から思えました。
こうした深いサポートができるのは、私たちが“数字”だけでなく、経営者にとことん寄り添う姿勢からだと思っています。たとえば保険の提案ひとつ取っても、月々の生活費から公的年金を引いて老後に不足する分を逆算し、必要な退職金や積立額を設計していきます。その根底には、私自身の原体験があります。「もし、あの時、自分にもっと知識があれば、家族をもっと助けられたかもしれない」。そんな思いが、今の自分を突き動かしているんです。

もっと経営者に寄り添うために、
仕組みづくりに奔走する。

渋谷オフィスの統括マネージャーになった今、あらためて思うのは、「経営者が何に悩み、どんな未来を見ているのか」を想像する力こそが、提案の本質だということです。そして、それを実現するには、コンサルタント自身に“余白”がなければなりません。日々の細かな業務に追われていては、本質的な提案にたどり着くことはできない。そこで、マネジメント業務に加え、コンサルタントを支える新たな体制づくりにも携わるようになりました。
その一つが、「仙台AA(アカウンティング・エージェント)」の立ち上げです。経営者のなかには、パソコンが苦手だったり、クラウドツールの導入が難しかったりと、デジタルに不慣れな方も一定数いらっしゃいます。さらに本業に忙殺される中で、資料の提出が遅れることも珍しくありません。その結果、コンサルタントの作業も遅延し、確認・催促・資料整理といった付帯業務に大きな工数を費やすことになります。本来、顧問として“寄り添うべき時間”が、こうした業務に削られてしまっていたのです。
この課題を解決すべく、紙資料の受領から入力までを担う専門特化したアシスタント体制を新設。自オフィスのアシスタントに加えて、仙台AAを新設する事で、業務の効率化・スピード化が実現しました。経理事務の仕事をしたくても、その職が現地に少ない地域・仙台において、やりがいのある仕事の場を生み出すことで、大規模な雇用創出を実現しました。
新設後1年程経過した現在は約60名のアシスタントが在籍し、全国のコンサルタントを横断的に支援する体制が稼働しています。今も採用拡大が続いており、近いうちに100名規模の体制を目指しています。
効率化のその先にあるのは、「もっと経営者に寄り添える未来」です。私自身、家族が事業を営む環境で育ち、経営の厳しさや不安定さを間近で見てきました。だからこそ今、当時の自分の家族のような方々に、プロとして手を差し伸べられる存在でありたい。もっと経営者の人生に向き合い、支えていけるように。仕組みづくりを通して、その想いをかたちにしていきたいと思っています。