THOUGHTS

お客様インタビュー

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お客様インタビュー

すべてを託し託されてきた、
ふたりが描く。
経営と人生のロードマップ。

神奈川県で飲食店を運営する
「株式会社Smith Kitchen」の代表岩崎洸さんと、
ベンチャーサポート税理士法人の渡辺謙介。
ふたりの出会いは、渡辺がプライベートで通っていた
居酒屋の店長と常連客という、なんとも不思議な縁から始まりました。
そこから10年以上、起業から店舗拡大、
そしてコロナ禍の苦境を経ていまも続く信頼関係。
数字や経営の相談だけでなく、
人生の岐路をともに乗り越えてきたふたりの会話から、
経営支援のひとつの理想像をお伝えします。

株式会社Smith Kitchen

岩崎 洸Kou Iwasaki

株式会社Smith Kitchen代表。大手飲食チェーンでエリアマネージャーを経験後、独立。相模原を拠点に飲食店を展開しつつ、人材派遣や食品関連事業にも挑戦している。

ベンチャーサポート税理士法人

渡辺 謙介Kensuke Watanabe

ベンチャーサポート税理士法人マネージャー。財務会計コンサルタント・税理士としてキャリアを重ね、現在はHR戦略室にも所属。迅速で実直なサポートで信頼を集める。

出会いは「酔っぱらいの常連客」から。

――まずは、おふたりの出会いからお聞かせください。

渡辺:最初は本当に偶然で、僕がよく通っていた居酒屋の店長をしていたのが岩崎さんでした。横浜のとある店で、僕はサッカー観戦の帰りにサポーター仲間と必ず立ち寄っていたんです。試合のあとで気分も高まって、つい飲みすぎてしまうことも多かったですね。だから細かい会話の記憶は曖昧ですが(笑)、「元気で気前のいい、気さくな店長」という印象が強く残っています。そんなある日、帰り際のエレベーター前で「独立するんでお願いできますか?」と声をかけられたのが、仕事でのお付き合いの始まりでした。もちろん、そのときもベロベロだったので、「後日、シラフで会いましょう」という感じで。

岩崎:僕からすると、渡辺さんは「いつも楽しそうに飲んでいる常連さん」でしたね。試合帰りに毎回寄ってくれるので顔も名前も覚えていましたし、会話のリズムも心地よかった。独立を考え始めた頃に「そういえば渡辺さんは税理士だったな」と思い出して、自然な流れでお願いしたんです。前職ではエリアマネージャーとして経営に携わり、結果も出していたので自信はありましたが、税務や会計は専門外。そこは信頼できる人に任せて、自分は売上と現場に集中すればいいと考えていました。

渡辺:それまで仕事でのお付き合いはなかったですが、単純に人として信頼されて相談をもらえたのは嬉しかったですね。

岩崎:あのときは直感でしたけど、結果的に正しい判断だったと思います。仕事上でも、10年以上続く関係につながっていますから。もともと近い関係性ではありましたが、経営状況をすべて見られることにも抵抗はありませんでした。サウナでお互いにすべてを見せ合う仲でもありますしね(笑)。

スピード!スピード!スピード!
創業からの怒涛の展開。

――独立後はどのようなスタートだったのでしょうか。

岩崎:最初の店は横浜の居抜き物件でした。オープン直後から順調で、その結果に背中を押されるように4か月後には2店舗目、さらに1年で3店舗目と拡大していきました。最初の頃はとにかくスピード感を重視していて、勢いがすべてでしたね。2店舗目も3店舗目も好調に立ち上がり、キャッシュも安定して積み上がっていったので、そのままの勢いで突き進んでいったんです。

渡辺:普通なら、創業当初は慎重になる局面だと思いますが、岩崎さんは「やる」と決めたら一気に動く。そのスピード感が強みでしたし、僕も即レスで対応するのが当たり前になりました。LINEを見て放置するなんてできない。そのリズムに僕自身も引っ張られていた気がします。

岩崎:ただ、4店舗目の津島店は完全に失敗でした。家賃が高すぎて、2フロア構成でオペレーションも悪い。さらにいろいろなトラブルも相まって、オープンから半年で資金繰りが厳しくなりました。もうズルズル続けてもダメだと判断して、ちょうど1年で撤退したんです。

渡辺:あのときの判断は本当に良かったと思います。ある程度事業がうまくいっていると「まだいけるんじゃないか」と考えてしまいがちです。ただ、撤退を早めに決めたことで、大きな傷を負わずに済みました。相談を受けながらも「ここはスパッと切り替えるべきだ」と伝えられたのは、僕にとっても印象に残る場面です。当時は「判断の早い経営者だ」と、社内でも話題になっていました。

岩崎:苦しい局面ではありましたけど、「やめる」と決めたら気持ちも切り替えられました。あのとき渡辺さんに「ナイスジャッジ!」と言ってもらえたことで、自分の判断に迷いがなくなった。挑戦と失敗を繰り返しながらも、前に進んでいる実感がありましたね。

二つの大きな転機が、事業をつなぎとめた。

――経営が苦しくなったときのサポートについて、印象的な場面はありますか。

岩崎:一番覚えているのは、津島店での失敗のあとですね。出店の流れが崩れて、資金繰りも厳しくなっていました。自分だけではどうにもならず、渡辺さんに相談して日本政策金融公庫に1300万円の融資を申し込むことにしたんです。あのときは本当に背水の陣でした。面談に同席してくれて、事業計画も一緒に作り込んでくれたのは大きかった。「これなら返済できる」という筋道を示してもらえたおかげで、融資を希望の満額で通すことができました。もしあの融資がなければ、その時点で事業は止まっていたと思います。

渡辺:あのときは「返せるリアリティ」をどう示すかに集中しました。数字を大きく見せるのではなく、現実的に2~3年で返済できる計画に仕上げる。それをきちんと伝えることが大事でした。公庫との面談中は隣で「大丈夫です」と言うのも僕の役割だったと思います。

岩崎:それからもうひとつ印象に残っているのが、創業店を売却した時です。最初の査定は「まあこんな程度か」という金額でしたが、渡辺さんが経費や収益の見せ方を工夫してくれて、最終的にはその2倍以上にまで引き上がった。あのときは本当に驚きましたね。「情報の整理ひとつでここまで変わるのか」と。あの売却益があったから、コロナ禍でも事業を続けることができました。

渡辺:岩﨑さんから「キャッシュを一括で確保したい」という話があったので、それに応えるかたちでした。もちろん事実を歪めることはできませんが、正しい数字をどう並べるかで見え方は変わります。あの売却益は、事業を立て直すために本当に意味のある資金だったと思います。

岩崎:僕にとっては、この融資と売却のどちらも事業をつなぎ止める大きな転機でした。渡辺さんがいてくれたことで「まだ戦える」と思えたし、「この人に全部任せて良かった」と心底思えた瞬間でした。

危機の時期こそ見えた、
本当のパートナーシップ。

――コロナ禍は飲食業にとって大きな打撃だったと思います。当時はどんな状況でしたか。

岩崎:あの頃は本当にきつかったですね。売上は一気に落ち込み、知り合いの経営者が次々に自己破産していくのを目の当たりにして、「次は自分かもしれない」と思いながら過ごしていました。お弁当販売など新しいことにも挑戦しましたが、状況を根本から変えるまでには至らず、家族や従業員の顔を見るたびに胸が重くなりました。

渡辺:僕はとにかく岩崎さんに余計な負担をかけないように心がけていました。国や自治体から支援策が次々に出ていましたが、現場を回している経営者がすべて把握するのは難しい。だから給付金や助成金、コロナ融資などをこちらで整理し、必要なものは申請まで全部代行しました。岩崎さんには事業を続けることに集中してもらう。それが僕の役割だと思っていました。

岩崎:資金繰りや制度の面だけでなく、気持ちの面でも支えてもらいました。「まだやれることはある」「一歩ずつ進めば大丈夫」と声をかけてもらえたことで、踏みとどまれた。渡辺さんがいてくれたからこそ、いまは次の挑戦に向けて歩み出せるところまで持ち直せたと思います。

渡辺:僕自身も、「ここで一緒に踏ん張れたら、この先もどんな状況でも超えられる」と思っていました。あの時期を共に乗り越えられたことは、僕にとっても忘れられない経験です。

「顧客と税理士」を超えた、
人生のパートナーとして。

――ここまで一緒に歩んでこられたおふたりの関係を、あえて言葉にするとどうなりますか?

岩崎:「顧客と税理士」なんて枠では説明できないですね。大事な友人であり、人生のパートナーに近い存在だと思っています。僕は会計や保険、資産運用まで、ほとんど全部を渡辺さんに任せている。自分は「やる」か「やらない」かを決めるだけ。任せきりにできるのは、信頼しているからこそです。

渡辺:僕にとっても、岩崎さんは特別な存在です。もちろんクライアントを支えるのが仕事ですが、それを超えて、一緒に事業や人生の節目を考えてきました。10年以上の関わりの中で、僕自身も学ばせてもらったことが多い。スピード感を持って決断する姿勢とか、苦しい局面でも前を向く強さとか。だからこそ「この人のために何ができるか」を常に考えるようになりました。

岩崎:渡辺さんを信じられる理由のひとつは、自分の「人を見る目」への自信でもあります。これまで信じて任せて裏切られたことは一度もない。渡辺さんもそのひとりで、直感は間違っていなかったと今でも思います。そして、いつも即レス、即対応してくれる。この姿勢と対応は、自分の仕事観にも影響を与えていますね。

渡辺:ありがたい言葉です!僕らの関係をたとえるなら「偶然から始まった必然」でしょうか。出会いは居酒屋の店長と常連客。でもいまはビジネスのパートナーであり、友人であり、これからも並走する同志です。そして、ここまで関係が続いたのは、お互い自然体でいられたことも大きいのかもしれませんね。

岩崎:そうですね。結局、お互い「楽しいかどうか」「この人と仕事がしたいか」で動いてきたから、いまの関係性があるんだと思います。まあ、最初はただの酔っぱらいの常連と店長でしたけど(笑)。

渡辺:確かに(笑)。でもその偶然が、いまの必然につながっている。これからも、再出店やM&Aのような大きな挑戦はもちろん、将来的なリタイアやその先の人生設計まで、一緒に考えていきたいですね。岩崎さんが「次はこれをやりたい」と思ったときに、僕が隣で「じゃあこう進めましょう」と言える関係を続けていきたい。そんな仕事の枠を超えた信頼関係は、僕自身にとって人生の大きな財産です。